ある寒い日のこと、クラスメートから授業の後にアイススケートに行こうと誘われた。
ラテン系の彼らはとても人懐っこく、フレンドリーなので私は彼らといるといつも楽しい気分になれるのだった。ただ毎日一緒にいると結構疲れる。
この日も学校を出発してからどこのスケート場にいくかでもめた。
最終的にあの有名なロックフェラービルの前にあるスケートリンクに行くことになったが、地下鉄を出て、私たちはスケートに行く前にあるレストランに入った。
お店の人が素早くいくつかのテーブルをくっ付けて縦長のテーブルにしてくれたので、皆がテーブルを囲うように座れた。誰かがお店にそうしてくれるように頼んだのだと思うが、彼らはこういうことにかけてはすごく機転がきく。そのお陰で皆の顔を見ながら楽しい食事がでたが、改めて見渡すと4名ほどいない。
私たちは食事を済ませレストランから出ると、レストランにいなかったその4人が私たちを外で待っていてくれた。私は彼らの一人に「どうして来なかったんだ。」と聞くと「ここは高い(値段)からだ。」と少し照れながら答えた。
結局レストランに入らなかった彼らはスケートも滑ることなく、私たちがスケートを滑っているのを見ては笑ったり、冷やかしたりして、それなりに楽しんでいる様子だった。
お金に余裕のある人間、ない人間、彼らは相手の懐事情を変に気にしたりしない。
みんな一緒でなくてもいいし、個々それなりの楽しみ方もある。
お互いそれほど気を使うことなく時間があるときは誘って遊びに行く彼らの感覚って、それも悪くないと思った。
彼らの厳しい現実と人生は、仕方ないことだらけなのだ。
なのでいちいち仕方ないことについてあれこれ考えるのは、野暮だという感覚かもしれない。
それにしても30年以上年生きてきて、実はアイススケートは初体験だった。
その初体験の場が、数多くの映画で登場する、まさかあの有名なロックフェラーセンター前のスケートリンクとは。
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